こんにちは。犬や猫が吠える、噛む、トイレを失敗する、留守番ができない…。
このような行動で悩んだことはありませんか?
「しつけが悪いのかな?」
「性格だから仕方ない?」
と思われることも多いですが、実はその行動には理由があります。
今回は、まだあまり知られていない「獣医行動診療科」についてご紹介します!
行動診療科とは「行動」を診る診療科です
動物病院へ行くときは、
・体調が悪そうなとき
・ワクチン
・ケガ
・手術
などを思い浮かべる方が多いでしょう。つまり、動物の「身体」を診てもらう場合がほとんどです。
一方、獣医行動診療科は、犬や猫の「行動」を診る診療科です。
「問題行動」という言葉が使われますが、動物にとっては決して「困らせよう」としているわけではありません。その子なりの理由があり、その結果として行動に現れているのです。
つまり、行動診療科では、
「なぜその行動をするのか?」
という原因を探ることを最も大切にしています。
ペットの行動に関する専門的な知識を持った獣医師が診察をすることにより、ペットと飼い主の生活の質を向上させ、相互の関係を深めることができます。また、行動診療科は、ペットの行動を理解し、適切なトレーニングや環境改善を通じて、より健康的で安全な生活が送れるようになることを目指します。
どんな相談が多いの?
実際には、犬猫ともにさまざまなお悩みがあります。
例えば犬では
・ 無駄吠え
・甘噛み・本気噛み
・留守番が苦手(分離不安)
・他の犬が苦手
・人を怖がる
・雷や花火を怖がる
・車酔いや通院が苦手
・夜鳴き
・高齢犬の認知機能の変化
猫では
・ トイレ以外で排泄する
・ 人を噛む・引っかく
・夜中に鳴く
・同居猫とのケンカ
・過剰な毛づくろい
・病院やキャリーを嫌がる
などがあります。
「こんなことで相談していいのかな?」
と思われる内容でも、実は多くの飼い主さんが悩んでいます。
行動の原因は「しつけ不足」とは限りません
「しつけが悪かったから…」
とご自身を責めてしまう飼い主さんは少なくありません。しかし、行動にはさまざまな原因があります。
例えば、
・ 痛みや病気
・不安や恐怖
・社会化不足
・ストレス
・学習経験
・遺伝的な気質
・生活環境
などが複雑に関係しています。
例えば、腰が痛い犬は、触られることを嫌がり噛むようになることがあります。また、怖い経験をした犬が病院へ行くだけで震えたり、パニックになったりすることもあります。
そのため行動診療科では、必要に応じて身体検査や血液検査なども行い、病気が隠れていないかを確認します。
「心」と「体」の両方から診ることが、獣医行動診療の大きな特徴です。
行動診療ではどんな治療をするの?
行動診療というと、「薬を飲む診療」と思われることがあります。
しかし、薬だけで治療することはほとんどありません。診療には、まず細やかな観察と飼い主からの詳しいヒアリングを実施します。これに基づいて、問題行動の根本原因を特定し、個々の動物に合ったプランを作成します。
さらに、飼い主との密なコミュニケーションを通じて、家庭内での具体的な対応策やトレーニング方法を指導します。
治療はその子に合わせて組み合わせて行います。
例えば、
・生活環境の見直し
・行動修正トレーニング
・ハズバンダリートレーニング
・ストレスを減らす工夫
・飼い主さんへの接し方のアドバイス
・必要に応じた薬物療法
などです。
行動改善を促進するため、必要に応じて薬物療法を併用することもありますが
薬は「問題行動を止める薬」ではなく、不安や恐怖が強すぎて学習できない状態を和らげ、トレーニングが進めやすくなるように使うことがあります。
つまり、薬だけで治すのではなく、生活全体を整えながら改善を目指す診療なのです。
「困ってから」ではなく「困る前」の相談もおすすめです
行動診療は、問題が大きくなってから受診する場所と思われがちです。
しかし本当は、
・子犬・子猫を迎えたばかり
・初めて犬や猫を飼う
・病院嫌いにしたくない
・留守番を上手に教えたい
・爪切りや歯磨きに慣れてほしい
そんな時期こそ、行動診療がお役に立てます。
子犬・子猫の頃から適切な社会化やハズバンダリートレーニングを行うことで、将来の問題行動を予防できる可能性があります。
もちろん、成犬・成猫になってからでも遅すぎることはありません。
「最近少し気になるな」
「これって相談していいのかな?」
そんな小さなサインこそ、早めに相談することで改善しやすくなるケースも多くあります。
まとめ
獣医行動診療科は、「困った行動を叱って直す場所」ではありません。
動物の気持ちや健康状態、生活環境を総合的に考え、その子に合った方法で行動の改善を目指す診療科です。
しっかりとしたフォローアップとサポートにより、ペットが安心して過ごせる環境を作り、飼い主さんとの絆を深めることができます。行動診療科の受診は、日常の小さな問題を未然に防ぎ、長期的な見地でペットが快適な生活を送り、飼い主との絆を強くするための大切な手段です。
私たちが目指しているのは、問題行動をなくすことだけではなく、動物と飼い主さんがお互いに安心して、楽しく暮らせる毎日をサポートすることです。
横浜市中区 本牧通り動物病院では行動診療を専門とする獣医師が在籍しております。もし愛犬・愛猫の行動で気になることがあれば、「まだ大丈夫」と我慢せず、お気軽にご相談ください。