2025年2月に狂犬病予防法が一部改正され、2025年9月1日に施行されたのをご存知でしょうか?
狂犬病予防法の改正内容
狂犬病予防法は今から約75年も前に制定された法律です。
そのため現在の飼育形態に柔軟に対応するべく行なったのが今回の改正です。
この改正によって「マイクロチップ義務化という動物愛護の枠組み」(環境省)と「狂犬病予防の管理制度」(厚生労働省)を矛盾なく結びつけ、手続きの簡略化・効率化を図られるようになりました。
例えばマイクロチップの入っている犬が引っ越した場合、新しい市区町村(自治体)が特例制度に参加していれば、旧自治体への届出は不要になり、一方で旧自治体は登録を消すことができ台帳の整合性は保たれるようになります。また、マイクロチップの脱落なども届出義務に追加し、登録情報を正確に保つ運用に見直されました。
そもそもこの流れは、動物愛護管理法のマイクロチップ義務化に伴うものであり2022年6月1日から、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)の改正により、犬や猫を販売する際に「マイクロチップの装着および登録」が義務化されたことに端を発します。これに伴い、マイクロチップを「鑑札(登録済みを証明する札)」とみなす「特例制度」を狂犬病予防法でも認める動きがあります。 実際には、この特例制度を導入してる自治体は約3割弱(2025年度まで)と少なく、今のところ十分に活用されて便利な制度とはなっていません。
今回の改正は、狂犬病予防注射の接種期間を4−6月に定めている現在の法律のもとで、通年接種を可能にする制度の土台づくりの一環と見られています。現に厚生労働省は通年接種の改正案を提出し、専門部会がこれを了承し、制度は2027年4月ごろ施行される見込みです。
狂犬病予防法を理解しよう
この法律の目的は明確に定められていて、
「狂犬病の発生を予防し、そのまん延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図ること」 。さらに、適用対象となる動物(主にイヌなど)を定め、飼い主に対して以下のような義務を課すことで、この目的を実現しようとしています。
犬を取得(例えば飼い始め)したら所定の期間内に登録を行うこと。
毎年1回、犬に対して狂犬病予防のワクチン注射を受けさせること。
さらに、自治体が実施する 定期集合注射の期間を「原則4月1日~6月30日」と定めていることで、自治体が一斉に注射を実施し、確認しやすくするための期間としています。
一方、動物病院では「通年接種」が法律上も認められていて、 4~6月以外に打っても 違法ではなく、狂犬病予防注射済証明書が発行され、それを自治体に提出すれば 法的義務は果たした扱いになります。つまり「4~6月に必ず打たないと違法」という理解は 誤解 で「その年度に1回打っていればよい」というのが実態です。ポイントは「法律上の義務の期間」と「実際に接種できる時期」が別 という点です。
このように、法律によって「飼い犬の管理」「定期的なワクチン」「飼い主と自治体の連携」を義務づけることで、国内での狂犬病発生を防ぎ、公衆の安全 ― すなわち人の命と健康、公共の福祉を守るための枠組みが構築されています。
また、子犬を飼い始めた場合、生後91日以上になったら狂犬病の予防注射を受けさせる義務があります。子犬は一般的な混合ワクチン接種を生後6〜8週齢頃(生後42〜56日頃)から始めることが多いので、かかりつけの動物病院に相談してワクチンプログラムを決めていくことになります。
実際、日本ではこの法律に基づく対策が功を奏し、1957年以降「国内での犬の狂犬病の発症」は報告されていません。このように、狂犬病予防法をしっかり理解し実践することが、ペットと楽しく安心して暮らすための基本です。
狂犬病とは
狂犬病は、ウイルス(リッサウイルス属の「狂犬病ウイルス」)によって起こる感染症で、人や動物(哺乳類全般)が感染対象となります。 通常、感染した動物(イヌ、キツネ、コウモリ、アライグマなど)が咬む・引っかく・唾液が傷口/粘膜に触れることでウイルスが体内に入り、人にうつります。 潜伏期間は比較的長く、通常1〜3か月、場合によっては1週間〜1年以上の報告もあります。
問題は「発症したらほぼ100%死亡する」高い致死率です。現在のところ、発症後に確実に治す治療法は確立されていません。 ただし、ワクチンによる予防、あるいは咬まれた後の迅速な処置(ワクチン接種など)で感染防止は可能です。 つまり、「非常に恐ろしい病気だが、適切な対策・予防を行えば防げる」という性質を持つ病気、と理解できます。そのため、狂犬病の予防は飼い主の重要な責任です。予防方法として、ワクチン接種が最も有効な手段であり、前述のように日本では法律により犬への年一回の接種が義務付けられています。日本は世界でも数少ない狂犬病の清浄国であり、その防疫の厳格さは世界のトップクラスです。もし仮に日本国内に狂犬病が入ってきても、蔓延させないために狂犬病予防法に基づく対策を講じていることで、パニックにならずに安心して暮らすことができます。世界的には国により対応はさまざまで、ワクチン接種に加えて、ペットの適切な管理や公園・旅行先での注意が大切になります。感染を防ぐためには、ペットを野生動物と接触させないことも大事です。しかし、国内に関しては今のところその心配はありません。
世界の狂犬病の現状
狂犬病は世界中で毎年約5万〜6万人の命を奪っています。特にアジアやアフリカでは多くの発症例があり、犬を介した人への感染が主な原因です。そのため海外からの「侵入リスク」は常に存在します。狂犬病は防げる病気であり、国内外問わず予防接種が重要です。ワクチン接種を欠かさず行いましょう。また、国外への旅行時には狂犬病リスクが異なるため、事前に感染状況を確認することが勧められ、動物との接触には十分な注意が必要です。このように、狂犬病に関する知識と予防策は、人と動物の健康と安全を守る上で欠かせない要素です。