猫の健康を守るため、乳腺腫瘍(乳がん)の早期発見や予防について考えましょう。
キャットリボンの日とは?
10月22日は何の日かご存じですか?この日は「キャットリボンの日」。「乳がんで苦しむ猫ちゃんをゼロにする」をスローガンに立ち上がった運動で、今年で7年目。猫の乳腺腫瘍(乳がん)の早期発見を促し、寿命を延ばすために飼い主さんの意識を高めることを目的としています。
乳腺腫瘍は多くの猫が経験する可能性のある病気で、特に避妊手術を受けていない雌猫に多く見られます。(避妊済みの猫に比べて7倍多く発生)
また、早期発見することで治療の成功率が高まり、猫の生活の質を向上させることができますので、日頃から飼い主さんが猫の健康状態を常にチェックし、異常を感じたら早めに動物病院を受診する意識をもってもらうことが大切です。
猫の乳腺腫瘍とは
猫の乳腺腫瘍は、先にお伝えしたように雌猫に多く見られる腫瘍の一種で、「しこり」として触れることが多いです。腫瘍には良性と悪性がありますが、この腫瘍は悪性であることが多く、進行するとリンパ節や肺に転移したり、腫瘍が破れて潰瘍状態になったり、病気の経過は厳しいものになってしまいます。
雌猫は加齢やホルモンの影響などでリスクが高まります。避妊手術を行っていない猫は特に注意が必要です。また、肥満もリスク要因のひとつとされています。乳腺腫瘍は初期には目立たない場合もあるため、日常的な触診と定期的な健康診断が推奨されます。適切な予防措置と早期治療が必要です。
早期発見と予防の重要性
乳腺腫瘍の早期発見は、猫の健康と寿命を大きく左右します。早期に見つけることで、治療の選択肢が増え、成功率も高まります。小さな腫瘍は手術で取り除くことが可能で、猫にかかる負担も軽減できます。日頃からこまめに猫の体を触って「しこり」を確認することや、定期的な健康診断を行うことが重要です。特に高齢の猫や避妊手術を受けていない猫はリスクが高いため、積極的に健康チェックをしましょう。注意深い観察と早期発見が、猫と過ごす時間を延ばす鍵となるのです。
また、乳腺腫瘍はホルモンバランスが影響しているため、早い時期に不妊手術をすると発生率を抑えることができます。その効果は、生後6か月以内で発生率が91%低下、1才になるまでで86%低下します。ところが2才以上になってから不妊手術をしても乳がんを抑える効果はなくなってしまいます。1才までに不妊手術をすることで、多くの乳がんを予防することができます。
健康診断のすすめ
健康診断は猫の乳腺腫瘍を早期に発見するための重要な手段です。特に乳腺腫瘍は早期発見が治療の鍵となります。定期的に健康診断を受けることで、愛猫の健康状態を正確に把握でき、異変を早期に発見することができます。当院では、年に1~2度の健康診断をお勧めしています。診断時には、獣医師が丁寧に触診し、必要に応じて超音波検査やレントゲンで精密なチェックを行います。早期発見を重視する健康診断は、猫の寿命を延ばし、飼い主さんとのより良い生活のための大切なステップです。
今年の「キャットリボンの日」が「あなたの大切な家族である猫ちゃんの健康を考える機会」となることを願っています。
※猫ちゃんの乳がんチェックのやり方はこちら→https://catribbon.jp/check/