株式会社本牧通り動物病院

日本とアメリカ(ボストン) ペット環境の違い

アメリカで犬を飼うって⁉

こんにちは!本牧通り動物病院の竹田です。

私はこの夏、アメリカ(ボストン)に住む娘夫婦のところへ行き、犬との生活において、日本との違いを肌で感じてまいりました。

そこで今回は、特別企画として「日本とアメリカ(ボストン)、ペットを取り巻く環境の違い」について感じたことをお伝えしたいと思います。

 

きっかけは、昨年、ボストンに暮らす娘夫婦が犬との生活を夢見るようになったことに遡ります。ワンちゃんを飼うファーストステップは、SNSを通してブリーダーさんとつながること。ペットショップでの購入が一般的な日本と違ってアメリカではブリーダーさんから直接購入することがほとんどのようです。数カ月の後、やっとお目当てのワンちゃんとブリーダーさんにたどり着いた彼らは、フロリダまでワンちゃんを引き取りに行くことになりました。

ボストンからフロリダまでは約2,000㎞。日本列島がすっぽり入ってしまうくらいの距離がありますが、そんな距離は気にならないほど、ワンちゃんを迎え入れたい気持ちが強かったようです。

 ボストンのペット環境

あれから8カ月、8月に私がボストンを訪問した頃は、ワンちゃんはもう立派な成犬の体つきになっていました。「スモア」と名付けられてたイングリッシュコッカースパニエルの元気な男の子です。

今回の滞在の間、私は彼と何度も散歩に出かけました。

まず驚いたのが、マンションのエレベーターです。ワンちゃんを抱っこすることなく、歩かせることができます。そして、外に出れば50mおきに排泄物を入れるビニールとゴミ箱が設置されていて、誰でも自由に使うことができます。またマンションごとに「ドックラン」が併設されていて、これも自由に使用でき、10分ほど歩けばさらに広いドックランやノーリードで遊ばせることのできる広大な公園、なんとワンちゃんが自由に泳げる池もありました!

とにかく、ワンちゃんを思い切り運動させることができる環境が整っていました。これだけの環境が整っていれば、大型犬が多いのも納得です。

(日本では近年、大型犬の飼育頭数が格段に減った、と感じます)

 日本とアメリカ、比べてみた!

ワンちゃんと共に暮らすための環境が整っていることに興味を覚えた私は、日本とアメリカの飼育世帯数を調べてみることにしました。

結果、アメリカ全土の飼育世帯(犬・猫)は66%、日本は17%、都市部ではアメリカ約50%日本では10%未満でした。なんとアメリカは日本の4倍から5倍も飼育世帯の割合が多いのです。

これで、ワンちゃんの環境が整っている理由もうなずけました。

少なくとも半数の世帯が犬や猫と暮らしているアメリカでは、ペットを飼う人がきちんと市民権を得ているのです。これに、ボストンの豊かな財政が後押しして、恵まれた環境を作っている、と感じました。

 

また、今回調べてみて気づいたことがあります。

それは動物病院の数です。娘夫婦が暮らす「ケンブリッジ」という市と本牧通り動物病院がある「横浜市中区」は人口のおおよその比較では12万人(ケンブリッジ)と15万人(横浜市中区)ですが、動物病院(一次)の数はケンブリッジ4件に対して、横浜市中区は16件。なんと4倍も中区の方が多いのです。(面積はケンブリッジ約18.5km2と中区は約21.2km2で人口密度も同じくらいでした)

にもかかわらず、日本のように夜遅くまで動物病院のスタッフが働いている様子もありません・・・これは、そもそもアメリカでは動物病院へ気軽に連れて行かない、ということなのでしょうか?

(娘曰く、人間も病院へは「滅多に行かない」そうです)

気軽に動物病院へ連れて行かない理由として「料金の高さ」があるようです。

娘の情報では「爪切り」をした時の料金が35ドル。日本円にすると5,000円を超えます!

病気ではない、あくまで日常ケアの爪切りで5,000円となると、確かに病院へ連れていくのも躊躇してしまいそうです。

ペットを取り巻く環境、 日本の良さ、って?

こんな事情がわかってくると、日本はペットを飼う環境としてはアメリカほど整っていないものの、

「動物病院へ行く」ことに関してはハードルが低く、日ごろからしっかりと予防や健康チェックをすることで、近年のペット寿命の延びにつながっているように感じました。ペットと一緒に暮らしていて、ちょっと心配なことを気軽に相談できるかかりつけ病院があるのは安心ですよね。

飼育頭数は減っていても、一頭にかける費用は年々上がっている、という事実もこのことを物語っているように思います。

飼い主さんが「家族の一員として、ワンちゃんや猫ちゃんの健康に気を配り大切にしている」

そんな日本の良さを改めて感じました。

今回のボストンでの滞在は、私にとって「これからも動物病院のスタッフの一員として、ご家族と動物たちの幸せな暮らしに寄り添っていきたい」そう思わせてくれる貴重な経験となりました。

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